震災と家系図と

これまで家系図作成を業務として取り扱ってきて、作成依頼をされた方の動機は、
「知的探求心から」
「先祖供養のため」
「自分の先祖を知りたい」
「子孫に残したい」といったものが主立ったものでした。

 

震災後の家系図作成依頼件数は、今までよりも減ってはいます。しかしながらこの一年のあいだに家系図を作成依頼された方の動機にはちょっとした変化が見られるようになってきたと感じます。
それは、夫婦や子供あるいは両親、先祖との絆をかたちで残したいとの理由から家系図をご依頼いただく方が増えたと思えます。今まで当たり前のように思っていた何気ない日常がある日突然抱懐し、やはり家族との絆を強く感じるようになった一年だったのだと思います。

 

震災で位牌・仏壇などの先祖の記録や、菩提寺やお墓などの先祖の記録も全て失ってしまった方々もたくさんいらっしゃると思います。
東北地方の市町村役場も役場自体が被災して保管していた戸籍も全て流されてしまったところもありました。しかしながら戸籍はその副本が法務局にも保管されており、その副本をもとに津波で流された戸籍が(一部期間のものを除き)すべて復旧したと記憶しています。

 

震災後に、先祖がとある東北地方に本籍地を置いていた方からのご依頼をいただきました。その市町村は壊滅的な被害を受け、ご依頼人様は先祖の記録を失われてしまいました。役場も被災し保管されていた戸籍も滅失してしまいました。
しかし法務局の戸籍の副本は無事でしたので副本をもとに役場の戸籍も再製されました。そしてその戸籍をもとに家系図を作成し先祖の記録を家系図として作成することができました。

 

家系図を作成することでは写真や遺品といったものは取り戻すことは出来ませんし戒名の記録も役場で知ることは出来ませんが、戸籍をたどることによって先祖のお名前や本籍地、出生死亡日という記録を取り戻すことが出来ます。
そして何より先祖や家族とのきずなを形として残すことが出来ます。

 

今なお不便な生活を強いられ、多くの方が先祖のことどころではないと思います。
しかしいつの日か平穏を取り戻し、先祖の記録をたどりかたちとして残したいとお思いになったとき私がお役にたてるのなら幸いです。

 

 

戸籍は市町村役場でその事務を執り行い戸籍も保管されていますが、戸籍の副本が市町村役場とは別のところにある法務局にも保管されています。今回の震災のように戸籍が滅失した際にはその副本をもとに戸籍が再製されます。
ただし市町村役場と法務局の戸籍にはタイムラグがあり、震災直前になされた届出については記載がもれてしまうこともあります。たとえば3月10日に婚姻届出を提出して婚姻した旨が市町村役場の戸籍に記載されていても、法務局の副本に婚姻した旨が記載されるのはしばらくたってからになります。また、震災前にすでに保存期間満了で廃棄されていたり、昔の水害等で既に滅失してしまっている場合には残念ながら先祖をたどれない場合もございます。

 

 

 

Follow me!