間違いだらけの家系図と業者選びのポイント
長いこと家系図作成の仕事をしていますと、他社様で作られた家系図を目にする機会もございます。
他社様で一系統の家系図を作成していただいたものの全系統家系図を作成したいかたや、他社様で戸籍を収集していただいた後に当事務所で巻物家系図のお仕立てをご希望のかた、また、他社様で戸籍調査をおこなっていただいたものの戸籍以上の調査である過去帳などの徹底調査のご依頼をいただくことも多くございます。
当事務所では、他社様に戸籍調査をご依頼をいただいた場合であっても、巻物家系図のお仕立てやご先祖様徹底調査などを喜んでお引き受けいたします。
他社様の作成した家系図を目にする機会が多いのですが、残念なことに記載間違いだらけの家系図を見かけることもございます。
単純に記載ミスだけのものでしたら、単に仕上げ作業時のチェックミスであるのだと思います。
他にも、実際には婚姻関係には無いのに家系図に夫婦として記載されているもの、子供では無いのに子供と記載されているものもありました。
これは古い手書きの戸籍では、役場の戸籍担当者が誤って全く関係のない人を戸籍に書いた場合に誤った記述も残しつつそのことを取り消すことが書かれているのですが、戸籍の身分事項欄を深く読み込まないとこのように全く関係の無いかたが家系図に記載されてしまうことがおこります。
さらには、伯父と甥の関係ではあるものの伯父と甥の表記が家系図上ではまったく逆になっているもの、戸籍の取得漏れがあるものまで様々な間違いだらけの家系図をを見てきました。
現在、家系図作成は行政書士で無くとも誰でも作成することが出来ます。行政書士に頼まなくてはダメだとは私は決して思っておりませんし、むしろ上記の間違い例は実はすべて行政書士事務所が作成した家系図であったりします。
これから家系図作成を依頼するにあたり、業界団体からのお墨付きのようなものがあれば安心してご依頼をしていただけると思うのですが、今のところそのような制度はございません。
そこで、あくまでも私の独断と偏見ではございますが、家系図作成業者選びのポイントを列記させていただきたいと思います。
1 価格だけで決定しない
低価格を売りにしていらっしゃる業者さんは大勢いらっしゃいます。今では家系図もお手頃な価格で作成していただくことが出来るようになりました。
しかし、価格だけで家系図作成依頼を決めてしまうことはとても早計だと思います。
一系統の家系図を作成するにあたり、記載事項によっても異なりますが最終チェックをするのに1時間はかかってしまいます。
当事務所で作成している全系統の家系図ですと、付属書類も含めて1回のチェックに4時間ほどかかります。つまり2回チェックするだけで一日が終わってしまいます。
私は家系図作成の仕上げ過程においてはこのチェック作業を何度もおこなうのですが、低価格を売りにしている家系図ですとやはりチェックにあまり時間はかけられずおろそかになってしまうのかもしれません。
2 家系図表装の様式
A3やA4用紙に家系図を印刷して納品する場合、もしも記載ミスがあったとしても印刷し直すのにさほど時間も経費もかかりません。
しかしながら、もしも巻物や掛け軸に表装した家系図を作り直すとなりますと業者側にとっては時間も経費もかかり、ご依頼者様にも多大なご迷惑をおかけいたします。
そのため、巻物や掛け軸など特殊な様式への仕立てをする場合には、どの業者様も通常の家系図チェックより慎重におこなっていることだと思います。
また、そういった業者さんであれば、たとえ巻物などの特殊な表装では無くとも仕上げチェックの重要さをよくご存じでいらっしゃることだと思います
3 誰が最終チェックをしているか
戸籍の実務経験を多く積んだ代表者がしっかりと何度もチェックしてくれているかどうかも、家系図作成業者選びにとっては重要なポイントだと思います。
上記の業者選びポイントはあくまでも私の独断と偏見によるものです。低価格を売りにしていらっしゃる業者さんであっても、巻物家系図などの表装をおこなわない業者さんであっても間違いの無いしっかりした家系図を作ってくださる方は大勢いらっしゃいます。
記載ミスを私やご依頼者様がみつけた場合は作り直していただければそれで良いのですが、誰にも間違いに気づかれないまま間違った家系図が後世に伝わってしまうのはとても残念なことであり悲しいことであると私は思います。
ここのところあまりにひどい間違いの家系図を目にすることがありましたのでコラムに書かせていただきました。
最後までお読みくださりありがとうございました。