守山藩(松川藩)の先祖調査録

「先祖が水戸藩士だったようだ」

というお客様から調査のご依頼をいただきました。戸籍よりもさらに先祖をさかのぼりたい、かつ、江戸時代の先祖の詳細が知りたいというご希望です。

まずは資料文献調査

先祖のお墓やお寺は分かっているものの、墓石や過去帳などから得られる情報はないとのことでしたので、資料文献調査を中心に進めていくことにしました。

戸籍は既にお持ちでしたので、まずは町名地番変更を水戸市役所に確認した後に旧土地台帳を申請しました。水戸の旧城下町は町名が変更され住居表示も実施されていますので、古い戸籍と現在の住所の表記が合致しません。そのため旧土地台帳などを申請するには新旧の対照を事前に調べる必要があります。

次に水戸城下絵図を取得しました。これは茨城県立図書館デジタルライブラリーでも取得することが可能です。旧土地台帳上の所有者と城下絵図とを比べると所有者の苗字が一緒ですので、先祖がかつて居住していた場所を特定することが出来ました。しかし、ご依頼者様の先祖の苗字とは異なりますので、土地は自己所有ではなかったようです。

続いて資料文献の調査もおこないました。水戸藩士に関する名簿資料は多数ありますが、その中の1つに水府系纂目録というものがあります。これは国文学研究資料館でも閲覧できます。
国文学研究資料館 HP
水府系纂目録

さらに国会図書館でも様々な資料を調べたところ、実はご依頼者様の先祖は水戸藩士ではなく守山藩士だったことが判明しました。

守山藩とは現在の福島県郡山市と茨城県大洗町に領地をもっていた2万石の藩です。水戸藩とも関わりが深く、水戸藩の御連枝で支藩です。明治3年に守山陣屋から松川に藩庁を移したため松川藩とも呼ばれています。

守山藩士に関する資料や書籍として、福大歴史学研究会発行の「歴史 第17集」や「シリーズ藩物語 守山藩」などがあります。これらの資料の他に茨城県立歴史館や郡山市歴史資料館にも現地でしか見られない資料があることがわかりました。

茨城県立歴史館

国会図書館にも多くの郷土誌が蔵書されていますが、全てではありません。また地域の郷土史研究家が書かれた書籍や郷土資料などは、その地域にしか蔵書されていないことがほとんどです。今回の調査においても茨城県立歴史館にしかない資料が数点ありました。その中から依頼者の先祖に関する記述を見つけることが出来、さらにその記述の出典元資料がとある大学に保管されていることもわかりました。

後日、その出典元資料を取り寄せたところ、依頼者の先祖のことが書かれており、さらには戸籍よりも2代さかのぼったかたのお名前までが判明することになりました。

郡山市歴史資料館

郡山市歴史資料館

郡山市歴史資料館には、年中公私日記や守山藩御用留帳といった守山藩時代の古文書が多数残されています。資料館の所蔵資料はHPからは検索出来ませんので事前に目録を入手しました。「郡山市歴史資料館収蔵資料目録」というものが国会図書館などにあります。

所蔵資料の中には活字化されたものが国会図書館などにもありますがごく一部であるため、すべてを閲覧するには現地まで行く必要があります。

資料館では古文書を直接閲覧させていただくことが出来、写真撮影も可能でした。ただし、資料数が膨大であったため、また、すぐには判読できないくずし字で書かれていますので、この日は撮影のみを行なって持ち帰ってから後日に精査することにいたしました。

しかし、所蔵されていた古文書には守山藩士のことは残念ながらほとんど載っていませんでした。ですが、 古文書資料の中の数少ない守山藩士に関する記述の中から、ご依頼者様の先祖のお名前を見つけることが出来ました。

年中公私日記

おわりに

今回の先祖調査ではご依頼をいただいてから調査報告書をお渡しするまで7ヶ月の長きにわたり、私にとっても思い出深い調査案件となりました。

結果としても戸籍以上に先祖を2代さかのぼる出来ました。しかし2代さかのぼれたということ以上に、ご依頼者様の先祖の詳細が判明して、収集した膨大な資料もお渡しすることが出来ましたことにご依頼者様にも大変お喜びいただくことが出来ました。

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