明治19年式戸籍の解説(2)

巻物家系図

架空の明治19年式戸籍の見本です。

戸籍事項欄をご覧いただきますと、1行目に「明治22年3月4日相続」と書かれていることを確認していただけると思います。この戸籍のひとつ前の戸籍を申請するにあたり、前戸主の記載や相続年月日を見ると、戸主:江戸三郎のものが存在することが読み取れます。本籍地は「寺町13番戸」です。

これと同じ事例において役所に申請をしたところ、「寺町13番戸には、戸主:江戸三郎の戸籍はありません」といわれたことがあります。

明治19年式戸籍が出来た時期は、当時の市町村役場によりまちまちです。そのため明治23年頃になってから初めて明治19年式戸籍が編製された役場もございます。また、明治22年相続前の戸籍は除籍となってからかなりの年数を経過しているので廃棄されていてもおかしくありませんし、廃棄されたという事実の記録が残っていなくてもおかしくない事案です。

しかしながら、「戸籍はありません」と言われた理由は別のところにありました。

実は明治22年に相続し、その後に「寺町13番戸」とは別の場所から転籍してこられていたのです。明治19年式戸籍であっても、転籍があればそのことが本籍地欄やその付近に記載され、従前本籍地を確認することができます。しかし、残念ながらその記載がもれてしまっているというか、当時の戸籍担当者が記載をもらしてしまったということも実は多々ございます。

この事例においては、当時の市町村は異なっていたものの現在は同一の市町村に合併されており、役所が戸主の名前と生年月日で検索が出来るようになっていたため、幸いにもみつけていただくことが出来ました。もしも、現在も異なる市町村であった場合には、残念ながらこの戸籍以上はさかのぼれなかったことになってしまいます。つまり、江戸末期に住んでいたと思われるご先祖様の居住地がわからなくなってしまうことになります。

明治19年式戸籍は一応は決まった書き方というものがありましたが、現代ほど通信事情が発達していない時代のことでございますから、全国の役場に通達が行き届いていなかったり当時の担当者ごとに記載方法が少しづつ異なっていることも珍しくありません。

明治19年式戸籍が取得できたからそれで終わりではなく、念のため取得した戸籍よりも古いものが保管されていないかを役所に確認していただくことをお勧めいたします。

もちろん当事務所に家系図作成をご依頼いただいた場合には、戸籍の取得漏れがないよう細心の注意を払って確認作業をいたしておりますのでご安心ください。

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