先祖代々のお墓探し

「先祖のお墓を探してほしい」というご依頼をいただきました。

墓仕舞いや無縁暮改葬というお仕事のご依頼をいただく一方、このように先祖のお墓探しのご依頼をいただくこともあります。

先祖のお墓を探す方法としては、通常は本家筋にあたる子孫を探しその子孫の方と連絡を取ってお墓を教えていただく方法をとります。たとえば、祖父のお墓を探したい場合には祖父のお墓を受け継いだであろう父の兄の子孫を探し、曾祖父のお墓を探したい場合には祖父の兄の子孫を探し、高祖父のお墓を探したい場合には曾祖父の兄の子孫を探す、という方法です。

そのためにまずは戸籍を取得することが最も近道です。祖父の兄弟姉妹や曾祖父の兄弟姉妹のお名前が判明し、その方々の居住地や子孫が判明する可能性があるからです。古い時代の先祖となりますと兄弟姉妹全員が判明しないこともありますが、明治初期の本籍地、つまりは当時の居住地だったであろう地域がわかります。その場所の周辺には先祖代々のお墓が存在する可能性が高いです。

ご依頼者様は既に戸籍をお持ちであり、現行法上取得できる最も古い戸籍までさかのぼれているとのことでした。さらに最古の本籍地の旧土地台帳や登記簿謄本なども既にご自身で取得済みとのことでした。ほぼ下準備もなく本家の子孫を見つけることができるかなと思っておりました。

しかし、戸籍、旧土地台帳、公図などを確認すると、どうも様子が変です。かつての最古の本籍地番は明治時代から現在までずっと畑であり、また、その周辺に住居があった気配はありません。さらに電話帳を調べてみると、該当する村には多くの同姓の方々が住んでいるものの最古の本籍地番には該当がありませんでした。

これはおそらく、戸籍上の本籍地番と土地の地番とが相違していると考えられます。

その理由ですが、
・屋敷番号の「○○番屋敷」や「○○番邸」と表記すべきところ、「○○番地」と表記してしまった
・戸籍が編成された後に地番変更があり、戸籍上の本籍地番はそのままであったものの旧土地台帳は新地番が採用された
・隣接地を含めた「○○番地・△△番地合併地」という表記をすべきところ、ひとつの地番のみが戸籍に記載されてしまった
などが考えられます。

いずれにしても、最古の本籍地がその後にどのような地番になっていったのかは、今回の場合では戸籍を取得して確認できませんので別の方法で本家の子孫を探さねばなりません。

この時点で本家の子孫やお墓を探すための方法としては、
・電話帳で把握できた同姓の方々にお手紙を書いてみる
・法務局で、かつての村すべての旧土地台帳を閲覧する
という方法をとることができます。

今回、先に法務局で旧土地台帳を閲覧する方法をとりました。旧土地台帳を閲覧することにより本家の子孫が見つかるだけでなく、もしかしたら先祖伝来のお墓が見つかる可能性も考えられるからです。
現代の都市部では菩提寺の境内にお墓があることがほとんどですが、地方では菩提寺の境内にお墓があることよりも今でも村の共同墓地などにお墓があることが多いからです。この場合には村の名義になっていたり共有者全員の共同名義になっていたりします。

法務局へと

旧土地台帳が編成された後の時代に町名地番変更や区画整理などが行われている場合、現在では旧土地台帳がどのようにファイリングされているか事前に確認しておくことが重要です。
また、旧土地台帳は多くの場合において200番地ごとに1冊の冊子になっていますが、1村すべてでどれくらいのボリュームになるかも事前に確認しておくこともお勧めです。

法務局で旧土地台帳を1ページずつめくっていくと、ご依頼者様と同姓の方々をすぐに見つけることが出来ました。さらに、閲覧を進めていくと、ご依頼者様の先祖や先祖の兄弟の方々のお名前も見つけることが出来ました。いくつかの土地を所有しており、その中でも登記上の地目が郡村宅地や宅地になっているところが先祖代々の居住地と思われる場所です。

旧土地台帳だけでは現在もそこに住んでいらっしゃるかどうかまでは分かりませんので、コンピュータ化前の登記簿謄本や現在の登記事項証明書なども取得し、さらには現在の住宅地図なども確認します。
すると、幸いなことに現在もその場所に子孫のかたが住んでいることが分かりました。これで本家を継いだかた、つまりは先祖代々のお墓を承継したであろうと思われる方が判明しました。

さらに旧土地台帳の閲覧を進めていくと、登記上の地目が墓地になっており、かつ、共有名義になっている土地を見つけました。しかし、共有名義であっても旧土地台帳上には共有者全員が記載されていないこともあり、今回もそのようなパターンでした。そこで、現在の登記事項証明書などを取得すると共有者のお名前が登記されておりました。その共有者の中からご依頼者様の先祖のお名前を発見することが出来ました。
登記上の地目が墓地であっても必ずしもお墓であるとは限らず、祠や石碑の場合もなどもあります。 そこで住宅地図やグーグルマップで現地を確認すると、現在も共同墓地となっていることが分かりました。

今回の調査では幸いにも法務局の旧土地台帳調査だけでご依頼者様の本家の子孫のかたの所在地と先祖のお墓の所在地を見つけることが出来ました。後日、本家の子孫の方と連絡をとり、現地のお墓を確認させていただくと先祖のお墓探しも完了です。

さて、今回の調査では「戸籍上の本籍地」と「先祖代々の居住地と思われる場所」の地番が異なっていると思われましたため先に法務局での調査を行ないました。地番が異なっている理由については、おそらくは屋敷番号が間違って表記されたか地番変更が行なわれたかのどちらかであると思われますが、これを調査をすることは非常に難しいため調査はここまでとなりました。

家系図作成や先祖調査はもちろんのこと、先祖伝来の家紋調査や先祖代々のお墓探しなども承っております。過去のお墓探し調査では、道なき道を進み藪の中へ入って行ったことや、廃村となった山中を歩き回ったことや、炎天下の中1000基以上の墓石を確認してまわったことなどもございますが、幸いにも今回は法務局だけの調査でお墓を見つけることが出来ました。

「先祖代々のお墓に手を合わせたい!」「先祖代々のお墓を探して欲しい!」というご希望をお持ちのかたがいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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